この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
今回は2月14日に決算発表のあったペッパーフードサービスの実績についてまとめていきます。
*本ブログの資料はペッパーフードサービスのIRデータを参照しています。
ペッパーフードサービス 第4Q決算
さっそくペッパーフードサービスの業績を振り返ってみましょう。
2018年12月期 第4Q決算 単位:百万円 %は前年比
【昨年比較】
第4Q決算 増収減益
売上高
売上高は635億円と前年同期比で+75.3%と大きく伸長しています。直近の月次を見ると既存店売上の落ち込みを新規出店でリカバーしている状態です。
新規出店
2018年度は合計で218店舗出店、撤退数は確認できていません。
店舗数 | 出店 | |
ペッパーランチ | 157 | 18 |
同上(海外) | 315 | |
いきなりステーキ | 405 | 200 |
同上(海外) | 11 |
【その他業態の店舗数】
ペッパーランチ・ダイナー:3店舗
炭焼ステーキ・くに:6店舗
こだわりとんかつ・かつき亭:1店舗
炭焼ビーフハンバーグ&ステーキくに:2店舗
92’S:16店舗
東京634バーグ:1店舗
牛たん仙台なとり:8店舗
武蔵ハンバーグ:2店舗
CABステーキ:1店舗
2019年は210店舗オープンを掲げています。。。
出店数の拡大に比例して、立地の見誤りによる売上不採算店舗のリスクを同時に抱え込むことになります。同様にチェーン店の怖さで食中毒事故などで1店舗こけたら皆こけるリスクも増大していきます。
以前の他社IRでもコメントしましたが、出店が続くことでブランド希少性による商圏の広さというアドバンテージは完全に無くなるかなと思います。各店舗ごとの商圏範囲が狭まってくるのと、自社競合が発生してきますので、今後は個人経営含めた競合店から売上のパイをどう奪っていくかの戦いになっていきます。
さらに原価率で50%超えのコストパフォーマンスは武器でもありますが、振り回すには重すぎる刀ともいえます。まさに「肉を切らせて骨を断つ」・・・成長を続け競合を打ち破る強力な武器ではありますが、売上が縮小してきたときには、自らに斬りかかってくる諸刃の剣であることは間違いありません。
歪みの拡大に対しては、必ず歪みを直そうとする力が働きます。前兆として既存店売上の変調か材料費のさらなる上昇があった時には赤信号が灯ったと判断していいと思います。為替、食品事故、ライバルの出現、風評被害、飽き、景気の落ち込み、、、何が落とし穴になるか分かりませんが。私なりの見解ですがこのイケイケ戦略は想定より早く転換点が訪れると感じています。。。
収益性分析
営業利益は38.6億円となり前年同期比で+68.1%と大きく伸びていますが、子会社とアメリカでの事業不振による特別損失を約40億円ほど計上しているため当期純利益は赤字に転落しています。
経費別にみていくと、材料費は55.1%→57.1%へと2%増加しており、出店に伴い今後も増えることが想定されます。人件費やその他の経費データは不明です。
貸借対照表 B/S
バランスシートも確認しましょう。
単位:百万円
(。´・ω・) 流動負債が膨らんでますね・・・
流動負債(短期借入金など1年以内での返済必要)が73億円と期首から倍加しています。
流動比率:12,608 ÷ 16,104 = 78.2% (前年 89%)
当座比率:9,570 ÷ 16,104 = 59.4% (前年 66%)
自己資本比率:3,745 ÷ 26,993 = 13.8%(前年 27%) マズイ
棚卸回転率:56.5回転 (前年 58.2)問題なし
キャッシュフロー計算書
2018年度に関して言えば拡大策が功を奏してキャッシュフローは前年比で改善されています。
2019年1月速報値
1月の速報値です。前年の出店攻勢のリバウンドもあると思いますが、既存店の売上がかなり厳しい状況になっています。全体数値がこの状態だと個店ではもっとエグくなっているはずです。同社はFC店舗が多いので、オーナーの離脱や、新規出店へのブレーキにならないかが懸念されます。
株価推移 証券コード3053 東証1部
【株価】
2/14現在 2,625円
*2年チャート
*5年チャート
長期では天井つけて大きく右肩下がり、直近では下げ止まりしていますが右肩下がりのトレンドが続いていることに違いはありません。
PER 21.68倍
PBR 11.35倍
従業員数 737人(連結)
平均年齢 37.7歳
平均年収 4,680千円
従業員数 | 平均年齢 | 平均年収 | |
2016 | 361 | 39.4 | - |
2017 | 520 | 38.2 | 468 |
2018 | 737 | 37.7 | 468 |
新規出店のところでも触れましたが、従業員数の推移を見ても分かるように、急激に規模が拡大しています。このケースだと内部的な歪みが相当出ているはずなんで、その辺のケアがどう行われているのかは興味があります。しかし、社長インタビューから強気の言葉しか聞こえてこないのは違和感を感じます・・・・・・デジャブってやつですね。
配当金と株主優待情報
【株主優待】
①お食事券か②自社販売商品を年2回
100株~ ①2,000円分 ②-
300株~ ①6,000円分 ②1セット
1,500株~ ①12,000円分 ②2セット
3,000株~ ①18,000円分 ②3セット
自社HP記載のペッパーフードサービス各店舗で利用可能
【配当金】
配当金 30円見込み(変動なし)
配当利回り 1.14%
【配当+利回り】
現在の株価が2,625円なので、100株1単元購入で262,500円(+手数料)でペッパーフードサービスの株主になれます。
1単元(=100株)所有で、食事券2,000円分、配当金が3,000円なので・・・還元率は1.90%です。株主優待狙いでのうまみは今一つです。積極出店しているのもあるんで配当や優待を重視しないのは当然かとは思いますが。
総評としては業績悪化による減配リスクがいつくるか・・・なので、これから株の購入を考えるならば見送り推奨です。
会計マメ知識
流動資産:1年以内に資金化が見込める資産
流動負債:1年以内に返済の必要な負債
当座資産:流動資産の中ですぐに換金できるもの
流動比率:流動資産 ÷ 流動負債
(200%以上が望ましい)
当座比率:当座資産 ÷ 流動負債
(100%以上が望ましい)
自己資本比率:自己資本 ÷ 総資本
(成長段階では設備投資が先行するので低くなりがちだが40%以上が望ましい)