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今は年末年始~成人式までのイベントが一段落して、少し落ち着いた感じの日々を過ごされている方が多いんじゃないかなと思います。
本当にお疲れ様でした。
気分転換を兼ねてプライベートも楽しんでください。
お店でこの時期に特に注意しておく必要があるのはインフルエンザや風邪といった従業員の健康リスクと、ノロウイルスによる食中毒発生リスクと、火災のリスクが挙げられるかなと思います。
店舗の運営に目を向けると、春先の学生を中心としたスタッフの入れ替え戦が間もなくやってきます。
貢献度が高かった卒業組に労いの言葉をかけつつも、店舗運営のために次世代へのバトンタッチを急ピッチで進めていかねばなりません。
前置きが長くなりました。
人件費管理の3回目の話をさせていただきます。


前回までの振り返り
本文に入る前に、簡単に前回までの振り返りをしておきます。
1回目は人件費管理は数字で組み立てるのは簡単だが、人の個性が絡むんで実際に管理していくのは難しいという話をしました。
2回目では人件費が何で構成されているのか、適正人件費とはどういったものなのかという説明をしてから、標準ワークスケジュールの作成方法までの話をしました。
良かったら振り返ってみてください。
1回目
人件費管理の難しさについて
愛の力が大切だって話も(笑)



2回目
人件費を構成する要素について
・社員給与
・PA給与
・法定福利費
・賞与と引当金
・求人費
CSと利益のバランスを考えること
適正人件費と標準(モデル)ワークスケジュール




人件費管理の基本は基準数値をもつこと
人件費管理をしていくうえで数字の基準を自分なりにしっかりもっておくことが大切だよという話をします。
これは人件費に限った話ではないのですが、多い・少ないとか、高い・低いとか、忙しい・暇だとか、、、感覚で話す言葉は受け手の心情を表してはいますが、事実がどうあったかが分かりません。
例えば通常4人で営業している場面で、1人が休んでしまったために、3人で対応したなんて場面だと、売上そのものは普段通りであったとしても、「めちゃめちゃ忙しかったですよ」って話が出てくると思います。
管理するってのは曖昧さを排除していくってことなんで、忙しかったかどうかを判断するのは最終的には数字がどうだったかが重要な判断材料になってきます。
また、管理するってのは、出てきた数字が妥当かどうかってことを判断することがポイントになってきます。その是々非々を判断するためには、基準となりうる数字を握っている必要があります。
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その基準となる数字と比較して、現実の数字がどれくらい離れているのか、高いのか低いのかなどから問題の有無を分析して、修正行動をとっていきます。
人件費はいくらまで払えるのか
損益計算書の構造を再確認してから、人件費としていくらまで支払えるのかの考えを組み立てていきましょう。
左の図が損益計算書の構造です。
売上高 = 材料費+人件費+物件費+諸経費+営業利益
材料費~諸経費まで足したコストが、売上高を上回ってしまうと赤字となります。
右の図は左の図を変形させたものです。
売上高から材料費を引いたものを売上総利益(粗利益)といいます。
売上総利益(粗利益)=売上高 ー 材料費
ここで人件費っていくらまで出せるのかって話なんですが、売上総利益の50%までなら許容範囲になるかと思います。
この人件費の売上総利益(粗利益)に占める割合のことを労働分配率といいます。
労働分配率 = 人件費 ÷ 売上総利益(粗利益)×100%
労働分配率が50%以上になると、よほど物件費の安い案件でないと、利益を継続して出していくことが難しくなります。
【練習問題①】
ある月の売上高が500万円で材料費率が30%でした。人件費総額が160万円とすると、労働分配率は何%でしょうか。
【練習問題②】
ある月の労働分配率が60%の店舗がありました。材料費が300万円で、売上総利益高(粗利益)が600万円とすると、人件費はいくらで売上比では何%でしょうか。






人時売上高で人件費をコントロールする
人件費の管理は(%)で考えると、具体的な行動に移しずらくなりますので、金額で考えてください。
例えば売上高の30%以内に人件費を抑えるようコントロールしようとか考えてると、売上がうねりを見せながら変動するなかで、適正な着地点を見つけるのが困難になります。
あくまでも金額ベースで人件費は〇〇円にする、そのために労働時間を〇〇時間コントロールするっていう発想で組み立ててください。
さて、前回話をしましたが、人件費は絞りすぎるとQSCの低下につながり、短期的には利益が出たとしても縮小均衡の負のループにハマってしまいます。
かといって労働時間が多いと利益創出が厳しくなるので適正な時間設定が必要です。
その適正となる労働時間数(生産性)を決めるのに人時売上高の指標を基準として理解しましょう。
人時売上高 = 売上高 ÷ 労働時間
適正値は4,000円以上
左の図は、横軸に人時売上高を縦軸に売上高を設定しています。
売上高と人時売上高を比較し、それぞれ労働時間が何時間になるかを出したものです。
右の図は月間を30日としたときに、1日当たりの労働時間数を算出したものです。
【練習問題③】
図の空欄部分の人時売上高が4,000円の時の各売上別の労働時間数を計算して求めなさい。
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まだまだ続きます。
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練習問題①
160万円 ÷ 350万円 ≒ 45.7%
練習問題②
X ÷ 600万円 = 0.6
X = 600万円 × 0.6 = 360万円(人件費)
360万円 ÷ (600万円 + 300万円) = 40%(率)
練習問題③
売上が300万円で人時売上高が4,000円とすると
300万円 ÷ 4,000円 = 750時間
↓こちらの記事内に人時売上高の自動計算フォームを入れました。
基準の数値を頭に入れておけば、条件反射的にいい悪いのジャッジや、事態の深刻さがどの程度あるかは瞬間的に判断することが出来るようになります。
頑張って覚えちゃいましょう!