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*この記事は2020年1月に更新されています。



在庫回転率を上げることで、資金の効率的な運用、クォリティの改善、利益の改善、売上の改善につながっていくという話をさせていただきます。
食材の回転率とは
最初に食材の回転率について説明します。
食材回転率(在庫回転率)とは、お店にある在庫が一定期間でどれくらい入れ替わっているかを表す指標のことです。
飲食店の場合だと、食材=在庫になりますので、在庫の回転率を上げるってことは、仕入れで食材を入荷してから実際に商品として出ていくまでの時間が短くなることです。
食材回転率 = 売上原価 ÷ 平均棚卸金額
※平均在庫高 =(期首在庫高 + 期末在庫高)÷ 2
【練習問題】
ある店の月間の売上高が500万円で、月初と月末の平均の棚卸金額が50万円でした。この店の原価率が30%とすると、この月の食材の回転率はいくつになるでしょうか。
*解答は記事の最後に
食材回転率が低いとどうなるか
メリットの話をする前にデメリットの話をします。
食材回転率が低い状態ってのは、冷蔵庫、冷凍庫、ストッカーなどで使われずに保管されたままの食材が多いってことです。
保管期間が長くなれば、当然材料の鮮度が落ち、品質の劣化や、期限切れによる廃棄やロスが発生してきます。
見た目はそこまで変化を感じなくても、保存期間が延びればその分だけ味は落ちてしまいます。
飲食店が注意しなければならない負のループ
味が落ちた商品を提供する→お客様があまり美味しくないと感じる→リピートしない→美味しくなかったと知り合いにも言う→客数が落ちて売上が落ちる→食材の回転が悪くなって品質が劣化する→繰り返し
食材回転率が上がることによるメリット
食材回転率が上がることによって、仕入れてからお客様に商品として提供するまでの時間が短くなります。
キャッシュの効率的な運用
つまり、仕入れに金を使ってからキャッシュを回収するまでの期間が短くなるってことです。
在庫=お金が眠っている状態が減りますので在庫の回転が良くなります。
資金繰りの面で効率が良くなることが、一番のメリットになります。
クォリテイが改善する
缶詰や粉もの以外は食材ですので賞味期限があります。
賞味期限内でも保管期間がより短くなることで、鮮度のいい美味しい商品がお客様に提供できるようになります。
管理コストが減る
物を保管しておくには当たり前のことですが電気代や保管スペースの確保という部分でコストがかかります。
在庫が適正になっていくことによって、冷蔵庫の中もすっきりするので納品や棚卸に費やす時間も削減することが出来ます。
利益が増える
デメリットで説明したような、先入れ先出のミスや、期限切れによる廃棄やロスが減ります。
また葉物などの歩留まりも改善されることによって、トータル利益を改善することができます。
食材回転率を上げて売上を上げていく
最後にかなり強引なやり口になりますが、食材回転率を上げていくことで売上を上げていくという話をします。
食材の回転率の公式は以下の通りです。
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なんでこうなるのか、公式の意味が分からない人は、分かるまでにらめっこしてみてください(笑)
この強引な公式に従うならば、
売上高を上げるには、①食材回転率を上げるか、②棚卸金額を上げるか、③原価率を下げるかの3択になります。
棚卸金額を上げるのはデメリットが大きいので、食材の回転率を意識して上げていくことで売上が上がっていくという理屈を理解してもらえたらと思います。
まとめ
今回は食材回転率についての話をさせていただきました。
1.キャッシュの効率的な運用ができる
2.クォリティが改善する
3.管理コストが減る
4.利益が増える



練習問題の解答
売上原価 = 売上500万円 × 原価率30% = 150万円
食材回転率 = 売上原価150万円 ÷ 棚卸金額50万円 =3(回転)
食材回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸金額
売上高
= 食材回転率 × 棚卸金額 ÷ 原価率
= (売上原価 ÷ 棚卸金額)×(棚卸金額 ÷ 原価率)
= 売上原価 ÷ 原価率