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ケース スタディ 1~10
お客様の洋服を汚してしまった
お料理をこぼしてしまうなど、お客様の服を汚してしまった場合の対応ですが、まずは謝罪をしっかり行うことと、身体への気遣いをしてください。
「申し訳ありません。お怪我はありませんでしたか?」
火傷の恐れがある場合などは患部を冷やす対応も必要になってきます。
その後、きれいな白いタオルなど拭くものを渡します。ケースによってはこちらで「お拭きしてよろしいでしょうか?」と尋ねたうえで丁寧に拭いてください。男性スタッフが女性の服に触れるのを嫌悪するお客様が多いので、拭くなどの作業は必ず同性が対応するようにしてください。
スタッフ側は動揺しているので、2次クレームをもらいやすい状況ですので注意が必要です。
いざという時のためにロールプレイングを行っておきましょう。
お会計も全額いただくって訳には行かない空気がありますので、1ドリンクをサービスするとか、会計から割引くなどの対応は考えるべきかと思います。
クリーニング対応
服を汚した場合はクリーニング(原状回復)での対応が必要になってきます。
一般的なパターンを挙げておきますが、クリーニングや弁償については会社やお店のルールがなければルールを作っておいてください。
落ち度に対してはきっちりと謝罪しないとですが、その後どうするかの提案部分でオタオタしないように対応マニュアルは必要です。
●その場で服を預からせていただけるケースでは、お客様のお名前や連絡先などをうかがったうえで、責任をもって店側でクリーニング対応してお届けするという約束をしてください。
●預かることが出来ないケースでは、お客様の自宅まで取りに伺わせていただき、その後クリーニング対応します。
●お客様が自分でクリーニングを出すと主張するケースでは、「お客様にお手数おかけするのは申し訳ないので、私どもでクリーニング対応させてください」と1回は改めて申しでてください。それでも自分でクリーニングに出すということであれば、「お手数おかけし申し訳ありません。クリーニング代の方はレシートか領収書と引き換えで私どもの方で責任もって支払わせていただきます」と伝えてください。
●お客様からクリーニング代をその場で請求されるようなケースでは、店のルールに従って対応してください。
●この後出かける予定があるのに・・・など汚れた服のままでは困るという場合は、代わりに着る物(同等品以下)を購入していただくことになります。その購入する際の実費は店側で持つ必要がありますので、お客様にはクリーニング対応後に購入品は返却してもらうことを了承してもらってください。



・クリーニングの前後で現物の写真を撮っておくことを自己防衛のためにおすすめします。
・クリーニング含めて洋服の返却に時間のかかりそうな場合は、途中でお客様に連絡をいれる配慮も必要です。
・店舗では高額賠償が必要になるなどのリスクもあるので、各種保険会社の用意している「施設賠償責任保険」への加入をおすすめします。
クリーニングしたが汚れが落ちない場合や、お客さまが納得しない場合には、洋服代について弁償が必要になります。
弁償の場合、弁償額についての問題がアレコレ出てきますが、基本、着古した服などは購入時の価値から減損していますので全額支払う必要はありません。
そのことを踏まえたうえでお客様との「示談交渉」を行ってください。
いつ頃、どこで、いくらで購入されたものか、どれくらいの頻度で着用しているのかを確認してください。
結論としては、同じ商品をこちらで購入し、汚れた商品を引き取らせていただくか、
同等品が手に入らない場合は、上限を購入価格としたうえで補償金額の交渉を行います。
いずれにしても原状回復分が費用負担となる部分ということを頭にしっかり入れておいてください。
あなたの汚してしまったという罪の意識を逆手にとって、相手が悪質な場合は過剰な対応を求めてきますので注意が必要です。
逆に過剰な要求をしてきたらクレーマーだと判断していいと思います。
当然、迷惑をかけたことへの謝罪はしますが、過剰な要求に対しては出来ないものは出来ないと毅然とした態度をとることが大切です。
最悪の事態でも購入時の負担以上の対応はできないことを頭に入れておいてください。
異物混入
ほぼ無条件に降伏せざるを得ません。異物をチェックする前にケガはないかの確認をしてから謝罪を行ってください。
そして、異物そのものについてよく確認させてもらうこと。
何がどういう風に入っていたのかも聞いてみてください。
現物を確認しながら、混入した可能性のあるルートを頭の中で探します。
確認しているときは沈黙も恐れずにいてください。異物と真剣に向き合う姿勢は、お客さまに対してある種の権威性を与えます。
例えば虫であれば、「レタスを仕込む段階で下洗いが不十分でした」とか、髪の毛であれば「制服についていた髪の毛が調理中に落ちたと思われます」など、可能性のある経緯を説明したうえで、「私の教育が不十分でした」とお詫びしてください。
そのうえで、新しく商品を作り直すか、代わりの商品を提案してください。
お客様が店に食べにきてるのに食べないで空腹のまま帰すのだけは回避してください。
空腹のままっていうのは本能にダイレクトに憎しみや恨みのような感情を起こさせます。
「食べ物の恨みは恐ろしい」ことは肝に銘じておいてください。
その商品のお代をいただくことが難しいケースの場合は、「私どもが本来お客様に提供してはならない商品でしたので、誠に勝手ながらこちらの商品については値引きさせてください」と申し出てください。
値引きしますと言うだけでは、そんなつもりで苦情を言ったのではないと怒りを買うケースもあります。
料理が遅い
人が食事をするというのは生理現象ですので、お腹が空いてると普段は温厚な人でも怒り出すことがあります。
料理がまだこないんだけどとお客様から言われたら、「申し訳ございません、厨房に確認してまいります」と言い、 ホールの責任者に伝えるとともに、キッチンに料理遅延のクレームがあったことを伝え、 優先して作ってもらえるよう依頼する。また、提供までどれくらい時間がかかるかを確認してください。
お客様のテーブルに戻り、「お料理が遅くなっており申し訳ございません。間もなく(〇分くらいで)出来上がりますので、あと少しだけお待ちください」と伝えてください。
提供時は責任者が「大変お待たせして申し訳ありませんでした」と謝罪しながら料理を提供するように。
状況によっては、料理が出るまでの時間稼ぎにドリンクをサービスするなどの配慮をすること。
お会計時にも「本日はお待たせしてしまい申し訳ございませんでした」と謝罪しお見送りしてください。
あらかじめ料理が遅いと分かっている場合は、「ただいま店内が大変混雑しておりまして、お料理の提供が遅くなる可能性がありますがよろしいでしょうか」と申し訳ありませんがの気持ちとともに、案内やオーダー時に一言添えておくように。
あと団体客は料理提供が全体的に多少遅くなっても待てますが、一人のお客様は待てないので一人客は特に注意が必要です。
遅いと呼ばれてからのリアクションでは、怒りのテンションを下げることは難しいので、 「すみません」と声に出したり、呼びベルでコールされる前にお客様の表情から怒りを察することができるかどうかも大きなポイントです。
料理が遅いのは店として最優先で対策を考えたほうがいいです。料理が遅いとピークタイムの客席の回転が悪くなり売上へのダメージが大きくなります。
また料理が遅いと、お客様からの冷たい視線を浴びたり苦情を言われるのがいやなんで、サービススタッフは客席から逃げようとしてしまい、いいサービスどころでなくなります。
料理がまずい
料理のクレームに対しては、まずその商品そのものがお店でお客様に出すレベルのものであったかどうかがポイントです。
それがダメなレベルのものであったら、すぐに謝罪して作り直しを提案してください。
全部食べ終わってから言われた場合や、逆に商品そのものには問題ない場合は、「期待を裏切ってしまって申し訳ありません」と言った後で、まずいという指摘がどの点にあるのかを聞いてみてください。
味は個人の趣向や主観に左右される部分もありますが、そのまずいという理由が商品の改善に役立つようなものであれば有り難いアドバイスとして聞いてください。
「貴重なご意見ありがとうございます。現状、この商品の味付けが当店の基準になっていますが、今後のメニュー作りの参考にさせていただきます」と伝えてください。それでも納得しなそうな場合は代替えの商品を提案をしてください。
食べ終わってからただにしろと言ってくる強者には「何かほかにお気に召さないことがありましたでしょうか」と論点をずらしていってください。味についての苦情ではそれ以上の対応する必要ありません。
食べているのに金を払わないと言ってきたら、「それは困りますので支払いはお願いします」とやや強気で交渉してください。
クレーマーだと判断したら「警察へも相談させてもらいますがよろしいでしょうか」と確認してもいいでしょう。
食器やグラスが汚い
お客様から食器やグラスが汚いと指摘を受けたら、すぐに謝罪し新しいものを持っていってください。
衛生面で不安を感じたお客様は、そのあとのチェックが非常に厳しくなりますので、失点を重ねないように要注意です。
スタッフ間でもクレーム情報を共有しておきましょう。
他の多数のお客様も言葉に出さないだけで同じ思いをしている可能性がありますので、洗浄工程や拭き上げの段階で問題が無いかの確認も必要です。
なぜ汚いものがお客様に提供されてしまったかの原因を調査し対策をとりましょう。
トイレが汚い
飲食店のトイレが汚いのは最悪です。トイレが汚いだけで次はこの店は無いなと考えるお客様は多数います。
もしあなたの店の売上が低迷気味であれば、トイレがピカピカか常にチェックしていくようにしてください。トイレのクレンリネスを徹底するだけで売上は上がってきます。
苦情を受けたら丁重にお詫びしたうえで「ご指摘ありがとうございます。すぐに掃除いたします」と言って掃除してください。
お会計時までそのお客様には注意を払い、重ねての落ち度がないようにするのと、最後のお見送り時に責任者がお詫びをしてください。
トイレは毎日床までしっかり掃除をする。トイレチェックを1時間に1回以上行う。トイレチェックをスタッフがしっかり出来るようトレーニングする。洗剤の補充、ペーパーの補充、便座は内蓋まできれいに、洗面台の水ハネなし、鏡の水ハネなし、換気扇のホコリだまりなし・・・
どこをチェックするかのリストを作成し、トイレ清掃やチェックの頻度を決め実行してください。



オーダーミス
ありがちなのが「私は間違えてない、確かにお客様がそういった」と従業員が納得しないパターン。
言った言わないを議論しても仕方ないので、お客様の話をよく聞いたうえで「申し訳ございません、急ぎ対応させていただきます」と伝えてください。
もしお客様がそれでいいからと寛容な姿勢できたら、もうひと押し提案をした上で、謝罪をして好意に甘えるしかありません。
この場合、必ずオーダーか提供商品かどちらかの値段の低いほうに合わせてください。
スタッフ側がミスを報告しない場合もあるので要注意です。これは、間違いを認めたくない気持ちが強いばかりに、素知らぬ顔で追加伝票や変更伝票を入れてしまうパターンか、店長や調理場からのミスの追及が怖くてビビッてこそこそやってしまうパターンのどちらかです。
いすれも、後で伝票を確認していけば責任者はおかしいなって気づくんですが。過ぎたことは仕方ないんですが、同じようなミスを重ねないように報告しやすい環境を作ってあげてください。
再提供まで時間がかかる場合は、責任者が謝罪とともに時間を伝えて、場合によってはドリンクサービスなどの手も打つことも考えましょう。
オーダーミスやオーダー漏れを繰り返すスタッフは、メニューを良く理解していなかったり、オーダーを取る練習が足りなかったり、オーダーの復唱をしていない場合などがあるんでそれぞれ対策が必要です。
店長を出せ
店長不在時にクレームが起きた時の予防策は打っておきましょう。
まずは店長不在時にクレームの初期対応が出来るスタッフの育成が必要です。お店の中の2番手、3番手のスタッフへのOJTを行い対応力を強化してください。
組織の強さはNo2が握っています。
まずはクレームが発生した時に「申し訳ありません」を頭を下げながら気持ちを込めて、きっちり言えるように教育してください。
「申し訳ありません。本日、店長が不在でして私が代わりにお話しを承わって店長に伝えさせていただきます」そのうえでお客様のお名前や連絡先をうかがって、「後日、店長より店舗の改善含めて改めて連絡させていただきます。本日は誠に申し訳ございませんでした」
その後、お見送りまでしっかり責任者が対応することも基本です。
釣銭が間違えてると言われたら



「〇円お預かりします」などは大きめの声でハッキリ伝わるよう言えるように教育をしてください。
また釣銭をお返しする時には、ゆっくりした動作でお札を見せながら数えて渡すように指導してください。
会計後に5,000円しか預かっていないのに、会計が終わった後で10,000円払ったじゃないかと言われるようなケースでは、レジを映す防犯カメラがあればいんですが、無い場合はお客様に待ってもらってレジ点検をしてレジ内の金額を確認するしかないので避けたいところです。
万が一ごねられたら、誤差の確認をして問題ないことをハッキリとお客様に伝えてください。
納得されずに文句を言って帰る方もいると思いますが仕方ありません。
お客様が待てないと言った場合は、お客様の名前や連絡先を聞いたうえで、「レジ内の金額とレジの記録を確認してから連絡させてください」として対応してください。
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