この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
*2020年7月に記事を更新しています。
今回のテーマは歩留まりです。
歩留まりって何でしょうか?
歩留まり率の違いが食材費に与える影響を説明できますか?
今ひとつ上手く説明できなそうだなと感じた方は続きを読んでみてください。

歩留まりとは?
飲食店における歩留まりとは、仕入れた食材の中で実際に製品化できる量(もしくは割合)のことをさします。
こちらの和牛画像も、どういうスペック(仕様や状態)で納品されているか分かりませんが、きれいに掃除してあるので、店舗でも相応に脂を削ったり、筋を引いたりしています。
製品化する過程で、仕入れた物が全て使えるわけじゃないのは理解できるかと思います。
仕入れた分から製品化できた量を歩留まりといいます。
歩留まり率 = 歩留まり(製品化した量)÷ 仕入れた量 × 100
歩留まりの記録の取り方
前提
- 食材ごとの加工方法についてルールが決まっていること
- 食材ごとに基本歩留まりをだしておくこと
- 加工時に製品以外に発生する端材が何かを分類しておくこと
記録の手順
- 原材料の加工前の重量を図る。
- 加工時に発生する端材は、すぐにごみ箱に捨てるのではなく、記録をとるために残しておく。
- 加工後に製品化した分と、端材の重量をそれぞれ計量する。
- 3で計量した値をそれぞれ記録表に書きこむ。
例)キャベツの歩留まり
キャベツの場合
- 最初に仕込み分の玉の重量をはかります。
- 加工時は外葉や芯の部分を取り除いたものを捨てずにとっておきます。
- カットしたキャベツ(製品)、外葉、芯の部分の重量をはかり記録します。
- 合計して足りない分はロスとしてカウントします。
- それぞれ合計との比率をだします。
目標(基準)値に対してずれているかどうかを確認します。
歩留まりの計算方法
手っ取り早く結果だけを知りたい場合はこちら
今回、実際の数字を使いながら「歩留まり」について考えていきましょう。
Y店は、1Kgあたり3,500円で仕入れていて、歩留まり(製品化率)が80%を標準と設定しているとします。
まず歩留まりが100%ならば200gあたりの値段は700円になります。
これを2,000円で販売しているとすると、35.0%の原価率になります。
700円 ÷ 2,000円 = 0.35
*分かりやすくするため調味料や笹の葉などの原価は除きます。
さてY店では
歩留まり基準が80%なので200gあたりの値段は875円になります。
3,500円 ÷ 80%(歩留まり率)× 0.2(200g/1,000g) = 875円
歩留まりによる仕入れ値の変化の求め方
= kg単価 ÷ 歩留まり率
上の例だと、
3,500円 ÷ 80% = 4,375円
この場合は約43.8%の原価率になります。
875.円 ÷ 2,000円 = 0.4375
【練習問題】
B店では、業者からブロックでA5和牛のサーロインを5,000円/kgで仕入れています。
お店では1人前150gのサーロインステーキとして売価3,500円で販売していて、お客様から人気の商品になっています。
さて、このサーロインの店舗加工時の歩留まりを60%とし、ソースや付け合わせ(ガロニ)分の原材料費を150円としたときに原価率はいくらになるでしょうか。
歩留まりによる仕入れ値の変化
5,000円 ÷ 60% ≒ 8,333円
150g当りの材料費
8,333円 ×(150g ÷ 1,000g)≒ 1,300円
サーロインステーキの原価率
(1,300円+150円)÷ 3,000円 ≒ 41.3%



歩留まりの加工者によるバラつき

加工者によって数字が動いてしまうこと。
キロ単価が3,500円で1日あたりの肉の加工量が4kgとして、3%ほど平均歩留まりが動いた時のことを考えてみます。
Aさん 平均歩留まり80%で加工
4,375円/Kg × 28kg(週間使用量)= 122,500円
4,375円/kg × 120kg(月間)= 525,000円
4,375円/kg × 1,460kg(年間)= 6,387,500円
875円 ÷ 2,000円(1人前)= 0.4375(原価率43.75%)
Bさん 平均歩留まり77%で加工
4,545円/kg × 28kg = 127,260円
4,545円/kg × 120kg = 545,400円
4,545円/kg × 1,460kg = 6,635,700円
909円 ÷ 2,000円(1人前)= 0.4545(原価率45.45%)
Cさん 平均歩留まり83%で加工
4,216円/kg × 28kg = 118,048円
4,216円/kg × 120kg = 505,920円
4,216円/kg × 1,460kg = 6,155,360円
843.2円 ÷ 2,000円(1人前)= 0.4216(原価率42.16%)
BさんとCさんで歩留まりによる年間の差額は480,340円とかなり大きな差になります。
ちなみに480,340円を3,500円/kgの仕入れ額で割ると、約137Kgの差(年間で)となります。
たかが3%程度の差ですが・・・
今回の肉100g計算の場合だと3%差って3gです。
わずか3gの差です。
ライス3gって何粒でしょう。
でも、そのわずかな差が有るか無いかによって大きく金額が動きます。
検品の問題
このわずかな差を上流側が下流にしわ寄せさせるケースが想定されます。
検品をザルにしないことや、店舗で歩留まりの記録をきちんととっておいて、平均歩留まりが下がってきたりしたときに、業者に対しておかしいんじゃないって言えないと、ひとつのお店でも何十万、チェーン店だったら何百万円って丸々損を被ることになる可能性もあります。
業者の方でも、値下げ対応を迫られる中で、品悪のものも納品しないと対応できなくなっているケースもあると思います。
無理強いして仕入れ値が下がったからって喜んでばかりいてはダメですよ。
まして、あそこの店はうるさいこと言わないから大丈夫みたいに思われると、スペックをややずらした商材や、あまり良くない品を混ぜ始める可能性も否定できません。
信用第一ってのが商売の鉄則なんですけどね・・・。
自分がカモになっている可能性もあるってことは頭の片隅にいれといてください。
まとめ
今回は、歩留まりについてまとめてみました。
あなたの店では、食材ごとの歩留まりをどう出していますか?
ざっくりとした歩留まり計算をしていては、商品ごとの正確な原価率を出すことはできませんのでご注意を。
関連記事