人件費削減や管理で頭を悩ませる前に知識を身に付けよう

人件費と言えば、人件費削減に頭を悩ませている店舗管理者が増えています。

 

じゃあどうすればいいのか、そもそも削減する時間はどうやって設定していけばいいのかなどが良く分かってない方もいると思いまとめてみました。

 

人件費の管理は、机上で目標値を決めて組み立てるのは割と簡単なのですが、人が絡む問題なんで実行し結果を出すのが難しい所です。

 

しかし、売上に対していくらの人件費を投入するのかは、店舗経営の根幹に関わる部分ですので、考えることから逃げずに取り組んでいきましょう。

 

今回、管理の基本であるPDCAに沿って話を進めていきます。

 

P:計画(Plan)

①毎日の売上予測を立てる
人件費をいくら使うかを決める前に、売上の予測を立てなければなりません。
月間での売上予測をもとに、日ごとの売上予測を組み立てます。

 

②毎日の予定労働時間を決める
毎日の予定労働時間を決めるにはいくつかパターンがあります。今回は3つのパターンを紹介します。

 

・目標人件費率から決めるパターン


人件費率 = 人件費 ÷ 売上高 × 100(%)
人件費 = 売上高 × 人件費率

 

*月商が600万円の店だったら、トータルの人件費率を30%を目標にするとか決めている場合に使えます。

⇒ 600万円(売上高) × 30%(人件費率) = 180万円(人件費)

 

使える人件費からトータルの労働時間がいくらかを計算します。

 

労働時間数 = 人件費 ÷ 平均時給単価
⇒ 180万円(人件費) ÷ 1,200円(平均時給単価) = 1,500時間

 

このトータルの労働時間を日々の売上予測に合わせて按分していきます。

 

・目標生産性から決めるパターン


店舗の目指すべき目標生産性が決められている場合などに用います。

主な生産性指標
人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間数
⇒ 総労働時間数 = 売上高 ÷ 人時売上高

 

人時接客数 = 総客数 ÷ 総労働時間数
⇒ 総労働時間数 = 総客数 ÷ 人時接客数

 

これらは、チェーン店など複数店舗のオペレーション管理では使い勝手のいい指標です。

 

*月商600万円の売上で、人時売上高を4,000円に設定すると
⇒ 600万円 ÷ 4,000円(人時売上高) = 1,500時間(労働時間数)

 

・標準労働時間(標準シフト)から決めるパターン

 

モデルシフトとも言いますが、日々の労働時間を固定時間と変動時間に分解します。
固定時間:客数の変動に関わらず発生する時間(オープンやクローズ作業、入金、棚卸など)
変動時間:売上や客数に応じて変動する時間

 

変動時間数を売上平日・金・土・日で決めたり、10万円ごととかで区切って決めておき、それに固定労働時間数を加えたのものを総労働時間数として設定します。

 

Do:実行

 

計画にそった実行シフト(ワークスケジュール)を作成し、日々の店舗運営や教育を進めていきます。
計画を守ったシフト作りができるかどうかと、店舗スタッフのレベルが一定以上であることがカギになります。

 

C:チェック

 

日々、売上高と労働時間の集計を行い、計画と実績の差を確認する作業です。売上が予測通りの結果で、労働時間も予定通りなら、残業など発生していない限り問題はあまりありません。現実的には、予測売上に対して上下に結果が動くので、ここで大切なのはその際に時間数を調整する必要が出てきます。

 

いわゆる「人件費コントロール」という考えです。

 

人件費コントロール:売上が高い(客数が多い)ときは時間を投入し、売上が低い(客数が少ない)ときは時間を減らす。

 

人件費コントロール(指数) = 労働時間達成率(人件費達成率) ー 売上達成率

 

これが±5%以内に収めることを管理者に求めているケースなどが多いかと思います。

 

*売上達成率が95%の場合、予定の労働時間(1,500時間)を103%以内にコントロールするには
⇒ 1,500時間 × (0.95+0.03) = 1,470時間

 

人件費コントロールは、就業上の問題も出てくるので、調整そのものは簡単ではありませんが、やらねば店がつぶれます。

 

A:アクション

 

出た結果については過去の話なんでコントロールできませんので、今から未来に向けての時間を調整していく必要があります。

*勿論、原因が何であったかの検証は必要ですが。

 

具体的には、人件費コントロールで103%が許容範囲ならば、その3%を超えた分を調整します。

 

【例題】
15日時点で売上予算300万円に対して実績が280万円の場合で、月末までこのトレンドが続き着地予想が564万円(達成率94%)だとします。労働時間は月間で1,500時間予定で、15日までで750時間使っていたとした場合に労働時間(人件費)コントロールを103%以内にするには、16日~月末(30日)まで、1日あたり何時間削減する必要があるでしょうか。ただし今回は、計算を簡単にするため曜日による労働時間の変動はないものとします。

 

⇒ まずトータルで使える時間数を求めます。
1,500時間 × ( 94% + 3% ) = 1,455時間

 

ここから、すでに経過した分の労働時間をマイナスしてから、1日ごとに必要な時間数を求めていきます。

( 1,455時間 - 750時間 ) ÷ 15日 ≒ 47時間

 

予定のシフト時間が50時間なので(1,500時間(月) ÷ 30日)

 

50時間 - 47時間 = 3時間(1日あたりの削減必要時間数)

 

感覚で分かると思いますが、後手の対応は非常に厳しく、売上のマイナス分を労働時間の調整で取り戻すのは非常に難しいところです。

 

でもやらねばなりませんが・・・

 

人件費コントロールの対策としては、以下のようなことが挙げられます。
・日々の労働時間チェックを習慣化すること
・予算精度を上げて、その売上に見合った人件費を投入すること
・スタッフの多能工化を進めること
・月初めに労働時間の貯金を作るようなシフト作成をすること
・売上に応じて経費は変動することを従業員に理解してもらうこと

 

人件費管理は店長の力量次第で決まってきます。

 

売上の30%が人件費だとしたら、その30%がどれくらいかを即座に肌感覚で理解できるかが鍵となるでしょう。